ともてつバスセンター/鞆の浦観光情報センターの物語り
鞆の浦の東側を区切る海岸沿い。
福山からこの町に入る際の、
玄関口にあたる場所に、
「鞆の浦」という名のバス停がある。
穏やかに広がる瀬戸内海の風景に、
心躍らせてバスを降りると、道路の向かい側に、
ともてつバスセンター
鞆の浦観光情報センター
と書かれた平らな建物があるのが、
ぱあっと目に入る。
バスを運営する「ともてつグループ」が整備した、
お土産屋でもあり、観光情報センターでもある、
開放的な、みんなのスペース。
平成17(2005)年の開設以来、
鞆の浦観光の起点、そして、終点として、
多彩な機能を担ってきた。
その賑々しい雰囲気に誘われて、
旅人たちの足は、自然とそちらへ―。
ともてつバスセンター/鞆の浦観光情報センターの物語り
建物の中に入ると、
その“賑やかさ“と“きめ細やかさ”に、
まず驚かされる。
これから、旅人が鞆の浦を歩くにあたって必要な、
地図やパンフレット、書籍類―。
一人ひとりが、興味に従って観光できるようにと、
建築物関連、坂本龍馬関連、
さらには、「崖の上のポニョ」関連など、
さまざまなテーマに沿って、
ディスプレイの世界観がつくられている。
併設の「鞆鉄道ミニ資料館」では、
「ともてつグループ」の前身である、
「鞆軽便鉄道株式会社」の資料、
さらには、昔の鞆の浦の
珍しい写真なども展示されている。
「鞆軽便鉄道」の機関車は、
上の方がずんぐりと膨らんだ可愛い
煙突を持っていて、そのため、
愛称で「ラッキョ汽車」、と呼ばれていた。
現在の水呑町と田尻町の境にある、
急勾配の「三分坂」では、馬力不足の
「ラッキョ汽車」は、しばしば立ち往生。
そうなると、車掌さんは乗客に向かって声を上げる。
「よう登らんけえ、みんな押してくれ」
乗客も当たり前のように汽車から降りて、
そうして、みんなで、えっちらえっちら―。
そんな牧歌的な風景、
古き佳き「鞆鉄道」の思い出が、
ふわりと感じられる、
この「ミニ資料館」。
鞆の町の変わったところ、
変わらないところを、
見せてもらった心地がする。
ともてつバスセンター/鞆の浦観光情報センターの物語り
資料館で、昔の鞆の浦に想いを馳せた後、
改めて、おみやげ品の陳列に目を移してみる。
名物の鯛を使った鯛味噌、鯛ちくわ、
伝統ある鞆の旨酒・保命酒(ほうめいしゅ)と、
それを使ったお菓子。
龍馬やポニョのキャラクターグッズなど、
色とりどりのグッズが、ところ狭しと並べられ―。
鞆の浦の基本的なおみやげは、
ほぼ網羅しているのではないかと思われる、
すごい品揃え。
併設のスナックコーナーには、
潮待ソフトクリーム、鞆の浦たこボール、
といった“ご当地グルメ”の看板も出ていて、
食欲が否応なしに刺激される。
鞆の浦の玄関口に立っただけだというのに、
これだけ、鞆の浦の持つ
“地域の宝”の数々に触れられて、
なんだか、とってもぜいたくな気分。
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鞆の浦の魅力を集積した、
この「ともてつバスセンター」。
その充実ぶりは、
携わるスタッフの方々の努力に加え、
鞆の浦の観光振興に熱い想いを抱く、
片岡明彦店長の方針によるところが大きい。
「鞆の浦観光情報センター」の
事務局長でもある片岡店長は、
鞆の浦という地域の持つ
“潜在力”に、確信を持っている。
海があり、祭があり、
人と人との濃密な関係性がある。
そして何より、鞆の浦は、
日本の港町の原風景として、
グローバルな魅力を持っている。
日本人のみならず、海外の人たちも、
この鞆の浦の美しさには、心酔する。
「ポニョやハリウッド映画が、
鞆の浦をロケ地に選んだのは、
その何よりの証拠だと思うんですよね」
快活にそう語る片岡店長の目には、
鞆の浦への、大きな大きな愛が、燃えている。
ともてつバスセンター/鞆の浦観光情報センターの物語り
どんなに良い観光資源があっても、
受け入れる体制がきちんとしていなければ、
観光で来られたお客さまに、
満足はしてもらえない。
「だからね」と、片岡店長は続ける。
「お客さんを最初に迎え入れ、最後に見送る、
バスセンターの責任は、重大なんですよ」
たとえば、片岡店長は、
「崖の上のポニョ」の世界を
追体験できるような、
地元の人だからこそ作れる、
きめ細やかなガイドマップも自作している。
鞆の旅を、より豊かに楽しんでほしくて―。
そのための大切な「情報」を、
お客さま一人ひとりのニーズに合ったかたちで、
きちんと提供していきたいという意志が、
片岡店長からは、力強く感じられる。
旅前に抱いていた期待を上回る、
素晴らしい経験をしてもらい、
120%満足して帰ってもらいたい―。
片岡店長は、少年のようにまっすぐに、
鞆の浦観光への熱き想いを抱き、
そして、行動し続けている。
ともてつバスセンター/鞆の浦観光情報センターの物語り
片岡店長は、こうも言う。
「おみやげや“ご当地グルメ”をたくさん置くのも、
やっぱり、旅全体としての満足度を、
高めてもらうためなんですよ」
美しい町並み、人とのふれあい、伝わる文化、
そうして、味覚からも感動を―。
鞆の浦観光に全身全霊を賭ける、
鞆の玄関口の、水先案内人。
こういう人が、鞆の戸口にいてくれるということは、
旅行者にとっても、そして、この町にとっても、
とっても、幸せなことだろう。
―楽しい鞆の浦旅行、保証します。
「ともてつバスセンター」の、
片岡店長をはじめとするスタッフさんたちは、
今日も、「鞆の浦」バス停脇で、
元気よく旅人をお迎えし、
そして、最高の笑顔で、送り出している。
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