「沼名前神社」は、鞆の浦の西方の山麓に位置する神社。鞆の浦で行われる多くの祭の舞台となるこの神社は、平安時代の延喜式にも記載されている由緒正しい神社です。海上安全に効験のある大綿津見命(おおわたつみのみこと)を祀る「渡守(わたす)神社」と、須佐之男命(すさのおのみこと)を祀り無病息災を祈願する「祇園社」。その2つの神社が明治時代に統合され、沼名前神社となりました。名前は変わりましたが、今でも鞆の浦の人びとは、この神社を「祇園さん」と呼んで親しんでいます。
大正から戦前にかけて栄えた沼名前の参道
戦前まで鞆銀座と呼ばれ大いに賑った沼名前神社の参道では、ユニークな鳥居が目に付きます。
すぐ脇の町家の手すりに突き当たるように建つ「一の鳥居」。また、笠木の両端に「鳥衾(とりぶすま)」が付く「二の鳥居」は他に類がなく、日本でここだけのものです。
◇「鳥衾」って鳥の寝床って意味なんですよ
国内で唯一現存しているポータブルな能舞台
境内には秀吉遺愛の能舞台があります。かつて京都伏見城にあったものを、福山城主・水野勝成が二代将軍・徳川秀忠より拝領し、それを沼名前神社に寄進したとのこと。 また、家康建造とも伝えられています。簡単に分解して移動できる組み立て様式の能舞台です。
◇喜多流創始者・喜多七太夫も初舞台を踏んだ桃山建築の能舞台
お祭りカレンダーを賑わす、鞆の浦のイベント中心地
沼名前神社では季節のお祭りが盛りだくさん。2月には新年の無病息災を祈る「お弓神事」が、6月には日本最古の由緒を持つ「茅の輪くぐり」が、7月には日本三大火祭りの「お手火神事」が開催されます。
鞆っ子が気勢をあげる季節のイベントの中心地です。
◇沼名前神社の石段をよじ登る勇壮な「お手火神事」は必見
沼名前神社の物語
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春を請う弓の響き
奉納の装いは目に眩しくお弓神事
旧正月、沼名前神社の境内に、独特の声が響く。武芸の神、八幡神社を前に凛々しい若者が弓を射て、邪気を払って春を呼び込むお弓神事。鞆の浦の二月の風物詩を、さあ、眺めてみよう。
2013年3月8日 公開
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火の粉をかぶる熱き祭り
氏子魂が爆発するときお手火神事
神輿渡御(とぎょ)のためのお清めと、氏子の厄払いのために、何世紀も前から鞆の浦で続いてきた祭事、お手火神事。沼名前(ぬなくま)神社に太鼓の音がなり響き、いよいよ本番が始まる。
2013年9月30日 公開
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祭りの前の奉製作業
熱さを想い、胸が騒ぐお手火神事・お手火奉製作業
7月の頭、小雨舞う中、沼名前神社の参道を歩いていると、随身門のすぐ前のスペースで「お手火神事」の準備に精を出す人たちに出会った。この火祭りに懸ける誇り高き氏子たちの、舞台裏の「物語り」。
2013年1月11日 公開
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沼名前神社の祇園宮にて
由緒正しい芽の輪くぐり茅の輪くぐり
毎年6月末日、沼名前神社で日本最古の謂れを持つ神事が行われる。大きな芽の輪を粛々とくぐり抜ける神事。全国各地で同様に行われるものの、鞆の浦ならではのユニークさも見つけた、そんなある日。
2013年1月11日 公開
沼名前神社の基本情報
2012年7月8日 公開
住所 広島県福山市鞆町後地1225
お問い合わせTEL:084-982-2050
その他・能舞台(国指定重要文化財)
・二の鳥居(広島県指定重要文化財)
・石燈籠一対〈拝殿前〉、力石、翁面(福山市指定重要文化財)
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