ノーマライゼーションを体現するイベント
さいたま市で国際試合
埼玉県さいたま市が、第1回ノーマライゼーションカップを開催したのは、2013年のこと。2011年に「ノーマライゼーション条例」を制定したことを受け、その理念である「障がいの有無にかかわらず、誰もが共に暮らすことのできる地域社会」を体現するイベントとして毎年行われています。
第1回は世界最強のブラジル代表、2014年の第2回は欧州の強豪ドイツ代表、2015年の第3回は南米のコロンビア代表を招いて戦いました。そして2016年、第4回大会はアジア3位の韓国との対戦です。
ブラインドサッカーという、スポーツのノーマライゼーションのひとつが世界各国に広まり、浸透しつつあることが伺えます。そんな種目の国際親善試合が国内で毎年開催されているのは、とてもうれしいことですね。
応援・観戦にもひと工夫
みんなで作り上げるスポーツ
目の見えない人も思い切り体を動かせる喜びが観客にも伝わるのが魅力のブラインドサッカー。障がいがあってもサッカーを本気で楽しむため、独特のルールがあります。ブラインドサッカーは、40×20メートルのフィールドに1チーム5人の選手が立つスポーツ。キーパーは視覚障がいがないか、弱視の人が担当します。ほかの4人は視覚障がいがあってもなくてもアイパッチとアイマスクをつけ、全く見えない状態で参加。中に鈴が入ったボールを使用しますので、選手にはボールの位置や転がる様子が伝わる仕組みです。さらに、選手ではありませんが、監督のほかに相手チームのゴールの後ろにガイドまたはコーラーと呼ばれる人がいてボールの位置や角度、パスやシュートのタイミングを伝えます。また、選手はディフェンスのとき、「Voy(ボイ)」と叫びながら前に進むことでムダな衝突を避けるルールです。とはいえ、音を通じて皆それぞれの位置が見えるようによくわかっているので、積極的にボールに集まり、激しい競り合いを見せてくれます。
ブラインドサッカーは、音が要となるので、観戦している際、大声は出せません。でも、シュートが決まった瞬間は観客が大声援を送ることで、選手は自分たちのゴールが決まったことがわかります。全盲の人も視覚に障がいがない人も、そして選手も観客も一緒に楽しめる、まさにノーマライゼーションのスポーツとして魅力が浸透しつつあります。
ブラインドサッカーの魅力伝え共生社会を目指す
障がいのある人が参加できるスポーツは、障がいがない場合に比べて限定されています。そんな中で、ブラインドサッカーは、障がい者が力を発揮出来るスポーツというだけではなく、視覚障がいのある人とない人が一体となり、同じゴールを目指すものとして存在感があります。そして、選手だけでなく、チームやサポーターもそれぞれの役割を果たすことで成立するのがポイント。みんなで得点の喜びや練習を重ねる大変さ、それを乗り越えた時の達成感を分かち合えるのがスポーツの醍醐味ですが、全員でゲームを形成するブラインドサッカーならなおさら感動は大きいものです。
社会には、性別や肌の色、身体の特徴など、さまざまな人がいます。そんな人たちがお互い支え合いながら共生していくことを目指すさいたま市。ブラインドサッカーの魅力を多くの人に知ってもらうことで、同時にノーマライゼーションの意義を感じてもらい、共生社会を実現させようと積極的に取り組んでいるのです。
ノーマライゼーションの事例
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デンマークの高齢者向け在宅ケア
ノーマライゼーションという考え方が生まれた国デンマーク。デンマークでは、高齢者福祉において、在宅ケアおよび地域居住という概念があり、実践されています。在宅ケアや地域居住は、個々に適したサービスを提供し、少しでも自立を促そうというノーマライゼーションの理念に則った考え方。その例として、ノーマライゼーション先進国の地域居住をご紹介します。
2016年10月5日 公開
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スウェーデンの認知症高齢者のためのグループホーム
スウェーデンは、個人による自己決定を何よりも尊重しています。自立して生きることが社会で大きな意味を持ち、当たり前となっているスウェーデンで考案されたのが、グループホームです。グループホームは、主に障害があったり認知症であったりするなど、継続的で長期的なケアが必要な人のための施設。ノーマライゼーションが当たり前になっているスウェーデンでは、グループホームにどのような考え方が反映されているのでしょうか。
2016年10月5日 公開
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認知症高齢者向け施設のあり方
スウェーデンでは、グループホームは障害があったり、認知症であったりと継続的で24時間のケアが必要な人が入居対象となっています。どのように、認知症などの高齢者が隔離などによって差別されるのを防ぎ、普通の暮らしをするというノーマライゼーションの理念を実現しているのでしょうか。スウェーデンのグループホームの仕組みはどのようなものでしょうか。
2016年10月12日 公開
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ノーマライゼーションを実現するスウェーデンのグループホーム
ノーマライゼーション先進国の一つスウェーデンで生まれた高齢者向け施設のグループホーム。日本のグループホームと比べて1施設の居住者は少なくありません。それでも、バリアフリーやユニバーサルデザインの施設を活用し、個人の自主性を重んじることで、ノーマライゼーションを実現しています。そんなグループホームの具体例を見ていきたいと思います。
2016年10月12日 公開
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教育界の分厚い人材が支えるインクルーシブ教育
北欧フィンランドは、ノーマライゼーションの育ての父ニィリエの母国スウェーデンの隣国。そのフィンランドで、インクルーシブ教育(インクルージョン教育、統合教育)が進められています。インクルーシブ教育とは、いわば教育のノーマライゼーションですが、どのような背景で発達してきたのでしょうか。
2016年10月12日 公開
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フィンランドのインクルーシブ教育
北欧フィンランドで進められているインクルシーブ教育。インクルージョン、統合教育とも呼ばれています。インクルーシブ教育は、学習のための障がいがあっても、障がいのない子どもたちと一緒の教室で勉強するというもの。フィンランドの小学校の授業で実際に行なわれているインクルーシブ教育の取り組みの具体的な事例を紹介します。
2016年10月12日 公開
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インクルーシブ教育と特別支援施設
教育のノーマライゼーションである「インクルーシブ教育」。インクルージョン教育や統合教育とも言われます。世界各国、各地でさまざまな取り組みが行われています。教育先進国イギリスでは、教育制度の方針としてのインクルーシブ教育を、「特別な教育的支援の必要性がある子どもが、可能な限り通常の学校で教育を受けるべきであるということ」だけでなく、「カリキュラムや学校生活において仲間と一緒に充分に活動すること」と位置づけています。このようなイギリスの教育システムや、さらに特別支援学校の状況とは…。
2016年10月12日 公開
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さいたま市の制定したノーマライゼーション条例
さいたま市は2011年、全国の政令指定都市に先がけて「ノーマライゼーション条例」を制定しました。障がいのある人への差別や虐待をなくして、障がいの有無にかかわらず誰もがともに普通の暮らしを送れるようにするためです。それによってどのようなことが行われているのでしょうか。
2016年10月12日 公開
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ブラインドサッカーとともに共生社会を推進する企業
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が近づくにつれ、障がい者スポーツに関心が集まっていますが、なかでも障がいがなくても楽しめるブラインドサッカーが注目されています。ルールや障がい者ならではのコミュニケーションを社員教育に取り入れたり、ブラインドサッカーの機会拡大をサポートしたり…そんな企業の動きをご紹介します。
2016年10月13日 公開
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ノーマライゼーションの考えと東松山市の学校教育
埼玉県東松山市は、最近では2016年にノーベル賞(物理学賞)を受賞した梶田隆章の出身地として話題になった街。その東松山市は2007年に、就学支援委員会(就学指導委員会)を廃止しました。委員会を廃止したのは全国で初めてですが、障害がある子どもでも、子ども本人や保護者が望む地元の学校に通えるようにする取り組みです。この結果として、どのような変化が出てきているのでしょうか。
2016年10月13日 公開