分かる!ノーマライゼーション

認知症高齢者向け施設のあり方

スウェーデンでは、グループホームは障害があったり、認知症であったりと
継続的で24時間のケアが必要な人が入居対象となっています。
どのように、認知症などの高齢者が隔離などによって差別されるのを防ぎ、
普通の暮らしをするというノーマライゼーションの理念を実現しているのでしょうか。
スウェーデンのグループホームの仕組みはどのようなものでしょうか。

ノーマライゼーション先進国が考えるグループホームとは?

ノーマライゼーションという概念を広めたニィリエが生まれた国スウェーデンで、グループホームが初めてできたという歴史があります。高齢化社会にあったスウェーデンで、「自分が将来もし認知症になったら」と不安を抱かせる環境から、認知症であっても最後まで普通の暮らしができるように変化していったのです。
スウェーデンでは、入居者数は数人という日本のグループホームと比べて、1施設の入居者数が多いことが特徴のひとつとして挙げられます。ノーマライゼーションは、従来の大型施設に障害者や高齢者が入居させられていたことによって生まれた差別に反対して生まれた概念。差別を無くそうという福祉の考え方に逆行しているように思えます。しかし、スウェーデンではたとえ多くの個室と入居者を抱えていたとしても、グループホームでノーマライゼーションが当然のこととして成立しています。

グループホーム内は、全体的にバリアフリーもしくはユニバーサルデザインで整えられ、個室という完全なプライベートな空間と共同のリビング、共用キッチン、ランドリールームといった公の場があります。家族などが訪問した場合に備えて、ゲストルームが備えられている場合もあります。
共用のキッチンがあることで、みんなで集まって作業しようとするため、居住者各人が自発的に行動することへの刺激になるそうです。そのため、フロアの居住者全員が車椅子を利用するとしてもスムーズに往来できるスペースが確保された設計となっており、施設内では入居者が「行動しよう」と思うことを妨げることはありません。

グループホームが街の中にある理由

スウェーデンのグループホームがある場所についても配慮されています。高齢者向け住宅や高齢者向けアクティビティセンターも近隣にあることが特徴。高齢者向けセンターにはグループホーム以外からも多くの高齢者などが集まり、長時間過ごすことができるようになっています。認知症の高齢者が孤立することはありません。もちろん、医療施設が近くにあり、定期的な健康管理チェックが行えるようになっています。
施設やそこに住む高齢者たちが、隔離されて差別されるということがないことはもちろん、地域の中に溶け込みやすい仕組みになっているのです。

立地や内部の工夫が総合的に作用して、一見大規模とも思える施設で、ノーマライゼーションを可能にしています。

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