分かる!ノーマライゼーション

ノーマライゼーションを実現する
スウェーデンのグループホーム

ノーマライゼーション先進国の一つスウェーデンで生まれた高齢者向け施設のグループホーム。
日本のグループホームと比べて1施設の居住者は少なくありません。
それでも、バリアフリーやユニバーサルデザインの施設を活用し、
個人の自主性を重んじることで、ノーマライゼーションを実現しています。
そんなグループホームの具体例を見ていきたいと思います。

グループホームの実例

ハーガゴーデン高齢者複合施設

北欧のグループホーム等について描いている『北欧のノーマライゼーション』で、首都ストックホルム近郊のハーニング市にあるハーガゴーデン高齢者複合施設にあるグループホームが紹介されています。
この施設は、市が運営しているもの。敷地内の中心にグループホームがあり、それを囲むようにして、デイサービスセンター、高齢者向け住宅があります。個室数は32室となっています。
ハーガゴーデンのデイサービスセンターには、さまざまな活動やパーティーを楽しむため、高齢者向け住宅で暮らす多くの高齢者が日々集まって来ます。このセンターとグループホームが渡り廊下でつながっていることもありますが、なにより活発に多くの人々が往来することで、センターの隣に住む障がいや認知症のある高齢者がグループホームごと隔離されてしまうことがありません。

グループホームでも自宅になる

自主性が尊重される個室

グループホーム内を見ると、各個室は、広さが30㎡。この個室のドアを閉めると、中にドアはなく、トイレ・シャワーの空間とリビングとの間に分厚いジャバラタイプの仕切りがあるだけです。車椅子の人が移動しやすく、介助者が動きやすいバリアフリーの環境になっています。すべての個室とも簡易キッチン、トイレ、シャワールームが整備されているなど、個室がひとつの住居として確立。自立を重んじる北欧の人々が「普通の暮らし」を送るための自宅と呼ぶに十分な空間です。最低限のものがそろっているというのではなく、少子高齢化が課題であるこの国で、快適にノーマライゼーションが実現できる環境になっているのです。それは、福祉が現在の高齢者のためだけのものではなく、若者たちが将来を考え、この国で働き、住み続けたいという意欲を持ち続けてもらうための意味もあるためです。
現在ハーガゴーデンの施設は全体的に明るい色調でまとめられています。ここで生活するとき、明るい気持ちになるための工夫です。ここでは建物に対し、設計者やデザイナーらが満足するための作品という意味はなく、利用する認知症の居住者や介助者が満足できる使いやすいものを作っていこうという考えがあります。居住者はもちろん介助者が、介護に日々取り組み活動することも考えられているからこそ、共生=ノーマライゼーションが可能になっています。

参考文献・出典

『北欧のノーマライゼーション』

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