ソーシャルワーカーらが支えるインクルーシブ教育の現場
フィンランド南部の都市エスポーは、首都ヘルシンキに近くノキア等グローバル大企業が本社を置くフィンランドの大都市。そんなエスポー市では、一つひとつの学校に、特別教育専門教員、看護師、心理職員、ソーシャルワーカーがいます。子どもが学習を達成し、個性を発揮できるようにカウンセリングできる体制です。
初等教育サービスのひとつが学習支援で、これによって子どもの教育のための福祉サービスが構築されています。サポートは3段階に分けられており、一般的なサポートから、拡張的なもの、特別支援となっています。移民の子どもの教育のためにも通訳サービスもあります。もちろんすべて無償です。
柔軟な対応で進める総合的能力を育てる授業
障害者施策情報等を発信している『月刊ノーマライゼーション』(2016年4月号)に、インクルーシブ教育に早くから力を入れているエスポー市にあるオーロラ小学校の具体的な授業の事例が掲載されています。
紹介されている授業の内容は、「シアター授業」。まず、障がいのある子どもと障がいのない子どもがともに、あらかじめグループ分けされます。各グループにテーマが与えられ、それぞれがそのテーマを演じます。シアター授業は、いわゆるジェスチャークイズのようなもの。ほかのグループは、何が演じられているのかを当てるという内容です。
ゲームのように楽しみながらできそうですが、表現やストーリーの理解といった学齢に合った総合的な能力が必要といいます。障がいのある子どももない子どもも同じグループになれば、グループの相談に参加して役割を果たしていきます。 もちろん追いつけない子どもも出てきます。ただ、それで仲間外れということでもありません。授業は、互いの存在がある中で進められていきます。
しかし、学習内容が高度になるにつれて、アシスタントの力を必要とする場面が増え、場合によっては同じ教室にいてもアシスタントとともに授業とは別のメニューを学習することもあります。まだ問題はありながらも個々の状況に柔軟に対応し、現状の教育制度の中でインクルーシブ教育のためにさまざまな挑戦を試みているということが伝わってきます。
このようなインクルーシブ教育への挑戦は、何より教員の高い力量があって成立するといえます。教員一人ひとりが高い技術と判断力を備え、独自の裁量で授業を進められること。フィンランドでは歴史的に教育に力を入れてきたことがバックボーンとなって、インクルーシブ教育へ挑戦できているといえます。
参考文献・出典
世界経済フォーラム https://www.weforum.org
欧州特別・インクルーシブ教育機関 https://www.european-agency.org
『月刊ノーマライゼーション2016年4月号』(公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会情報センター、「フィンランドのインクルーシブ教育で学ぶ知的障害のある子どもたちを訪ね、考えること」品川文雄)
ノーマライゼーションの事例
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デンマークの高齢者向け在宅ケア
ノーマライゼーションという考え方が生まれた国デンマーク。デンマークでは、高齢者福祉において、在宅ケアおよび地域居住という概念があり、実践されています。在宅ケアや地域居住は、個々に適したサービスを提供し、少しでも自立を促そうというノーマライゼーションの理念に則った考え方。その例として、ノーマライゼーション先進国の地域居住をご紹介します。
2016年10月5日 公開
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スウェーデンの認知症高齢者のためのグループホーム
スウェーデンは、個人による自己決定を何よりも尊重しています。自立して生きることが社会で大きな意味を持ち、当たり前となっているスウェーデンで考案されたのが、グループホームです。グループホームは、主に障害があったり認知症であったりするなど、継続的で長期的なケアが必要な人のための施設。ノーマライゼーションが当たり前になっているスウェーデンでは、グループホームにどのような考え方が反映されているのでしょうか。
2016年10月5日 公開
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認知症高齢者向け施設のあり方
スウェーデンでは、グループホームは障害があったり、認知症であったりと継続的で24時間のケアが必要な人が入居対象となっています。どのように、認知症などの高齢者が隔離などによって差別されるのを防ぎ、普通の暮らしをするというノーマライゼーションの理念を実現しているのでしょうか。スウェーデンのグループホームの仕組みはどのようなものでしょうか。
2016年10月12日 公開
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ノーマライゼーションを実現するスウェーデンのグループホーム
ノーマライゼーション先進国の一つスウェーデンで生まれた高齢者向け施設のグループホーム。日本のグループホームと比べて1施設の居住者は少なくありません。それでも、バリアフリーやユニバーサルデザインの施設を活用し、個人の自主性を重んじることで、ノーマライゼーションを実現しています。そんなグループホームの具体例を見ていきたいと思います。
2016年10月12日 公開
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教育界の分厚い人材が支えるインクルーシブ教育
北欧フィンランドは、ノーマライゼーションの育ての父ニィリエの母国スウェーデンの隣国。そのフィンランドで、インクルーシブ教育(インクルージョン教育、統合教育)が進められています。インクルーシブ教育とは、いわば教育のノーマライゼーションですが、どのような背景で発達してきたのでしょうか。
2016年10月12日 公開
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インクルーシブ教育と特別支援施設
教育のノーマライゼーションである「インクルーシブ教育」。インクルージョン教育や統合教育とも言われます。世界各国、各地でさまざまな取り組みが行われています。教育先進国イギリスでは、教育制度の方針としてのインクルーシブ教育を、「特別な教育的支援の必要性がある子どもが、可能な限り通常の学校で教育を受けるべきであるということ」だけでなく、「カリキュラムや学校生活において仲間と一緒に充分に活動すること」と位置づけています。このようなイギリスの教育システムや、さらに特別支援学校の状況とは…。
2016年10月12日 公開
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さいたま市の制定したノーマライゼーション条例
さいたま市は2011年、全国の政令指定都市に先がけて「ノーマライゼーション条例」を制定しました。障がいのある人への差別や虐待をなくして、障がいの有無にかかわらず誰もがともに普通の暮らしを送れるようにするためです。それによってどのようなことが行われているのでしょうか。
2016年10月12日 公開
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さいたま市の事例 - ブラインドサッカーの国際試合開催
2011年に、全国の政令指定都市の中で先がけて「ノーマライゼーション条例」を制定した埼玉県さいたま市がブラインドサッカーの国際親善試合「さいたま市ブラインドサッカーノーマライゼーションカップ」を開催しています。視覚障がいのある人とない人が共にスポーツを楽しむ機会の拡大を後押ししています。
2016年10月12日 公開
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ブラインドサッカーとともに共生社会を推進する企業
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が近づくにつれ、障がい者スポーツに関心が集まっていますが、なかでも障がいがなくても楽しめるブラインドサッカーが注目されています。ルールや障がい者ならではのコミュニケーションを社員教育に取り入れたり、ブラインドサッカーの機会拡大をサポートしたり…そんな企業の動きをご紹介します。
2016年10月13日 公開
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ノーマライゼーションの考えと東松山市の学校教育
埼玉県東松山市は、最近では2016年にノーベル賞(物理学賞)を受賞した梶田隆章の出身地として話題になった街。その東松山市は2007年に、就学支援委員会(就学指導委員会)を廃止しました。委員会を廃止したのは全国で初めてですが、障害がある子どもでも、子ども本人や保護者が望む地元の学校に通えるようにする取り組みです。この結果として、どのような変化が出てきているのでしょうか。
2016年10月13日 公開